東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センター 整形外科 特任助教
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これまで犬の跛行診断といえば、臨床症状や触診、単純X線検査などの所見を総合して判断するのが一般的でした。しかしながら、触診で得られる情報は主に「感触」や「動物の反応」であり、単純X線検査では主に「骨」の情報しか得られません。つまり、骨以外の運動器である関節、筋、腱、靭帯、神経の情報は、触診という主観的な評価に委ねられてきました。
こういった背景から、人整形外科分野では運動器を評価するための超音波診断技術が発展してきました。そして今では、運動器エコー検査は、無麻酔・無侵襲でほとんど全ての運動器を描出することが可能であり、運動器がどのように動いているかをリアルタイムで詳細に観察できることから跛行診断には欠かせない存在となっています。さらに言えば、CT、MRI、関節鏡検査に全身麻酔や高額な検査費用が必要となる小動物整形外科分野にこそ、運動器エコー検査が重要であり、大学病院や二次診療施設よりも、むしろ一次診療施設において習得すべき検査法と言えます。
そこで今回は、必ず知っておくべき歩様検査や視診、触診法について概説した後に、運動器エコー検査を始めるにあたって知っておかなければならない情報と、基本的な運動器の描出法や異常所見について解説いたします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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