鷲巣 月美 先生日本獣医生命科学大学 獣医臨床病理学 准教授鳥巣 至道 先生日本獣医生命科学大学 獣医高度医療学 特別研究員
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※昼食は各自にてお願い致します。
日常の診療の中で、肝酵素が上昇している症例に遭遇することは稀なことではありません。肝疾患の診断には肝酵素の測定は不可欠ですが、「肝酵素の上昇」の解釈には注意が必要です。肝酵素の上昇は必ずしも肝疾患の存在を意味するものではなく、他の様々な病態においても見られる変化です。たとえば、肝臓以外の体内のどこかに炎症や腫瘍がある場合でも肝酵素は上昇します。したがって、まずこれら二次性、反応性肝障害を除外し、その次のステップとしてどのような機序で肝臓が障害されているのかを調べる必要があります。
次に肝酵素の上昇と肝機能障害とは異なります。肝酵素の上昇が本来の肝疾患によるものであったとしても、必ずしも肝機能障害が存在することを意味するものではありません。肝酵素の上昇がみられただけで、肝性脳症をコントロールするために作られた蛋白制限食を給与することは間違いであり、給与に当たっては適応症例を正しく選択しなければなりません。様々な治療薬を使って肝疾患の治療が行われていますが、適切な栄養補給がすべての治療の基礎となることを忘れてはなりません。
犬の慢性肝疾患/障害としては慢性肝炎、肝線維症、先天性肝血管異常、胆嚢/胆道系疾患、空胞性肝障害などがあげられますが、今回はこれら慢性肝疾患の病態発生とその治療について症例を交えお話しします。