歯科・獣医セミナーの学際企画

【書籍】Cellprep®細胞診 一般カラーアトラス

著者:冨田 裕彦(大阪府立成人病センター 病理・細胞診断科 主任部長)
   竹中 明美(大阪府立成人病センター 病理・細胞診断科)
A4判・112頁・フルカラー
ISBN978-4-906514-89-2
定価:3,600円(税込3,960円)送料別

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発刊にあたって

液状化検体細胞診(LBC)は我々が『液状化細胞診(CellPrep®)婦人科子宮頸部細胞診アトラス』を出版した昨年以降1年足らずの間にますます普及の勢いをみせている。尿、体腔液といった液状検体のみならず、乳腺穿刺、気管支鏡検体などにおいてもLBC細胞診が一般的に行われるようになった。従来法と併用したLBC標本作製が行われることが多いのが現状であるが、近い将来、LBCのみの細胞診が主流となることは容易に想像できる。
こうしたLBCの隆盛を背景として、子宮頸部細胞診以外のLBCを網羅するアトラスとして本書を作成した。呼吸器、乳腺、甲状腺、消化器、耳鼻口腔、泌尿器、体腔液、リンパ節、子宮体部の代表的疾患のLBC所見を従来法所見、病理所見と対比し、LBC初心者、さらには細胞診初心者にもわかりやすく解説することを心掛けた。子宮頸部細胞診とも共通する点であるが、LBCにおいては検体採取後の標本乾燥がない、血球や夾雑物が取り除かれるといったメリットのある一方で、細胞大集団を観察することが困難であり、個々の細胞におけるN/C比、クロマチンパターンの検討、小集塊内での細胞配列の観察を中心に詳細な検討が必要となる。LBC標本での正確な細胞診断手法の修得と共に、細胞診全般を理解するためのテキストを目標とした。
CellPrep® LBCの特徴の一つに、尿、体腔液、喀痰、穿刺検体など、種類の異なる材料毎に検体に最適化されたバイアルが準備されていることがある。専用バイアルを用いることによって、誰でも簡単に最適な標本作製を行うことができる。さらに綿棒、穿刺針を直接バイアルに入れるので、検体採取時の針刺し事故や、コンタミネーションのリスクを最小化することができ、採取者にとってもメリットは大きいといえる。そのように簡便化された検体処理のなかでも、知っておかなければいけない標本作製時の注意点やコツなどは残さず取り上げるようにした。
近年、細胞診検体の免疫染色の機会が増えているが、ホルマリン固定パラフィン包埋標本用の免疫組織化学染色とは条件が異なる場合が多く、免疫細胞化学染色の最適化は一筋縄ではいかない。本アトラスでは、診断にとって重要な免疫細胞化学染色写真を多く図として加えるとともに、種々の一次抗体に対する最適条件も列挙することにより、読者がスムーズに免疫細胞化学染色に取りかかれるように工夫した。
本アトラスは、CellPrep®法をはじめ、各種LBC 採用施設の皆さま、またこれから細胞診を勉強しようとする医師、臨床検査技師の方々にも十分役立つアトラスであることを確信している。『液状化細胞診(CellPrep®)婦人科子宮頸部細胞診アトラス』ともども、細胞診座右の書としていただけたら著者にとってこれほどの喜びはない。(本書『諸言』より抜粋)

内容

目次

  • 第1章 CellprepⓇ システムの概要
  • 第2章 CellprepⓇ による細胞診判定の注意点
  • 第3章 CellprepⓇ の細胞像
  • 第4章 LBCと免疫細胞化学染色
  • 第5章 Cellprep®LBCを用いた迅速細胞診

※講師の所属は開催日時点のものです。