歯科・獣医セミナーの学際企画

No.750 くちはどう老い私たちは何をするのか

菊谷武先生「くちはどう老い私たちは何をするのか」歯科セミナー

くちはどう老い私たちは何をするのか

〜歯はなくてはならない?あったほうが良いのか?なくても良いのか?〜

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菊谷武先生「くちはどう老い私たちは何をするのか」歯科セミナー

講師

菊谷 武 先生

日本歯科大学 教授
口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長

プログラム

  1. 高齢者に要介護者に冷たい歯科の現状
  2. くちはどう老いるのか?
  3. 運動障害性咀嚼障害とは?
  4. 8020達成者は誤嚥性肺炎リスク者となるのか?
  5. 在宅診療で出会う高齢者のくちとは
  6. 予後を見据えたかかわり
  7. 歯を抜く歯医者は良い歯医者とは?
  8. 医療モデルから生活モデルへのパラダイムシフト
  9. 最期まで寄り添う歯科医療

収録日

2024年3月10日

収録時間

4:40:01

ウェブ受講料

法人・個人会員9,000円(税込9,900円)ご入会はこちら
ウェブ会員12,000円(税込13,200円)ご入会はこちら
一般歯科医師38,500円(税込35,000円)
※ 視聴期間:2025年1月1日〜2026年2月28日
※ テキストは付属しません
※ 配信開始日以降の申込者は、入金確認後1〜2営業日以内にご受講いただけます

開催にあたって

 日本人の多くはおおむね10年ほどの自立を失った期間を過ごしている。演者は、外来受診の機会を奪われたこの時期の患者を多く診療している。この時期とこの時期に向かおうとしている高齢者における口腔の問題に、この講演ではフォーカスしたいと思う。

 現場で起こっていることをまとめると、運動障害性咀嚼障害への配慮の欠如と自立を失った期間における歯科医師の不在問題である。

 咀嚼機能にもっとも重大な影響を与えるのは、歯の欠損に基づく、咬合支持の喪失である。咬合支持の維持・回復には、歯を残すことと、補綴治療をすることであり、口腔インプラント治療は大きな力を発揮する。一方で、抗うことができない口腔の運動機能の低下によって起こった咀嚼機能の低下においては、運動機能に配慮した治療方針を検討しなければならない。口腔の運動機能の重症化に伴い、咬合支持の存在が咀嚼機能に与える影響は相対的に低下する。すなわち、咀嚼機能にとって、咬合支持の存在はなくてはならないものから、あったほうが良いものになり、なくても良いものに変遷する。咬合支持の改善に偏重した歯科治療方針の策定は大きな問題を残す。さらに、歯科医師は医療者の中で要介護高齢者に最も冷たい職種と言って良い。多くの歯科医療は、外来受診が可能な時期においては深く関与するものの、外来受診が途絶えると、そのままに放置する。自立を失った10年もの長きの間、患者の口はどう管理され、どのように崩壊していくのか、もし、多くの歯科医師が観ることがあれば、歯科医療が大きく変化するものと考える。医療が疾患モデル一辺倒から生活モデルを取り入れたように、歯科医療においても大きなパラダイムシフトが起こることを期待する。

※講師の所属は開催日時点のものです。