日本歯科大学 教授
口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長
大学院生命歯学研究科 臨床口腔機能学
2018年7月15日
3:15:36
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8020運動も功を奏し、高齢者の現在歯数は増加を示し達成者は5割を超えた。しかし、依然口腔機能を低下した者の数は増え続けている。その増加は人口の高齢化に伴う身体機能障害、認知機能障害を有する者の増加と無縁ではない。口腔機能は、咬合支持の存在だけでなく、口腔の運動機能にも大きな影響を受ける。舌の運動機能をはじめとする口腔機能は加齢により低下する。さらに、加齢と伴にその発症率を増加させる脳血管疾患の後遺症や神経変性疾患等によっても口腔機能は障害される。つまり、歯の喪失による咀嚼障害(器質性咀嚼障害)を有する者の数は、減じても口腔機能の低下による咀嚼障害(運動障害性咀嚼障害)を有する者は増加していると考える。
ある調査によると、約7割の高齢者が75歳を境に自立度を低下させ、10年ほどかけてほぼ全ての介助が必要となることが示されている。まさにフレイルという状態から要介護状態に至る過程を示していると言える。ここでみられる自立度の低下の原因となる身体機能の低下や認知機能の低下は、口腔機能の低下の原因にも結果にもなりうる。この過程の中でも特に比較的早期にみられる口腔機能の低下は、より重症な摂食機能障害に対して回復可能な余地を大いに残す領域と考えられ、地域歯科診療所に通院期間中に起こる変化であるとも言える。よって、歯科診療所において早期からのそして合理的な介入が求められる。
今般の診療報酬改定において、“口腔機能低下症”について、論じられている。これまで、歯科は、咀嚼機能障害に対して義歯の不適合や咬合の回復をもってあたってきた。これから求められる歯科医院での対応は、運動障害による咀嚼障害に対しての検査や訓練、指導をすることであると考える。本セミナーでは、運動障害をはじめとした口腔機能の低下をどう評価するか、具体的に示し、その訓練方法や指導法についてレクチャーする。各医院の歯科医師、歯科衛生士のペアでの参加を希望する。