鶴見大学歯学部 探索歯学講座 教授
質疑応答
学際デンタルセミナー会員 | 9,000円(税別)(テキスト代含む)ご入会はこちら |
一般歯科医師 | 35,000円(税別)(テキスト代含む) |
歯科衛生士・歯科助手 | 15,000円(税別)(テキスト代含む) |
※学際デンタルセミナー会員(個人会員・法人会員)の通常セミナー受講料は、本年より前納に限り税込9,720円とさせていただきます。
※受付作業円滑化のため、事前振り込みのご協力をお願い申し上げます。
※当日のお支払の場合、受講料は税込10,000円とさせていただきます。
200万年続いた旧石器時代の狩猟生活に適応してきた人類が、加工した農畜産物を中心とする現代食に未だ適応できていない事が生活習慣病の背景にあるとハーバード大学の人類学者リーバーマン教授が指摘しています。食事が変わると口腔細菌叢の構成も変化します。その結果、現代の食生活を続けるとまず歯科疾患に罹患します。歯科疾患の次に、高血圧症と糖尿病を発症し、さらにがん、脳血管疾患、心疾患など死因となる疾患が続発します。生活習慣病に対してこれまでは、死因となる疾患の治療技術の高度化に重点が置かれていました。しかし、生活習慣病発症の根本原因は食生活ですから、食事のリスクを除かなければ疾病のカスケードは生涯続いていきます。齲蝕と歯周病から始まり次第に重症化していく生活習慣病のカスケードを歯科疾患の段階でしっかり止めることが大切です。そのためには、歯科医院において歯科医療の専門家が齲蝕・歯周病を治療し、歯磨き指導(TBI)をするだけではなく、歯科疾患と生活習慣病の共通リスク因子である食事に対して早期に介入し、歯科患者の食事を根本的に変えなければなりません。
一方、齲蝕と歯周病により歯を喪失すると、食材をなんでも噛んで食べる事ができなくなり、食事内容が変わってしまいます。そのためタンパク質低栄養になることも報告されています。歯の喪失に対しては、歯科治療で速やかに咀嚼力を回復させ、タンパク質低栄養を防止する必要があります。このように低栄養は歯科疾患の原因ですが、歯科疾患の結果でもあるのです。
以上のことを鑑み、歯科医院において生活習慣病の一次予防を積極的に行なう事は今後重要なことと思われます。本セミナーにおいてはそのためのエビデンスに基づいた理論・実践法をご解説しいたしたいと思います。歯科医師は勿論ですがスタッフの方々にも是非ご参加いただければと存じます。