鶴見大学歯学部 臨床教授
症状のない人に、どのようにして予防歯科を受診していただくのか?
システマティックな診療体系のつくりかた・理論編
初診から予防歯科へと誘う説明法
~ハンドクリーニングの目的と手順・時間を浪費しないTBI 他-
A~Dの4グループに分かれて各項目をローテーションして学習(各30分)
東京会場
東京都港区新橋5-15-5 交通ビルB1
財団法人 国鉄労働会館
03-3437-6733
大阪会場
大阪府大阪市中央区本町1-4-5
06-6264-9800(代)
福岡市博多区博多駅中央街2-1
092-474-5280
※ 上記教材費はスライド集と、武内先生がまとめた最新刊の3DS除菌療法マニュアル「歯周基本治療編(定価:6,000 円)」、「う蝕編(定価:4,000円)」、「歯科クリニックで活かす食育・生活習慣保健指導の運用(定価:5,000 円)」の4冊分となります。
※ 昼食は各自にてお願い致します。
予防型クリニックをつくるなどと気負っても、症状のない患者さんは自分からは来院しません。やっと定期検診に来院して頂いても、疾患が発見され治療となってしまうか、疾患が無い場合は、TBIとPMTCを実施して終了する場合がほとんどです。これだけでは、予防歯科の継続受診および健康づくりのシステムには至りません。
全く別の主訴で来院した患者さんに対して、日常の連続した臨床の中で、どのように予防的処置を提示説明し、継続受診させるのか? といったソフトの部分と、定期的来院を促すリスク低減治療の仕組みづくりこそが重要なのです。
病気に至る蓄積したリスクを取り除く定期予防処置について知ってもらうことです。
これまでの「歯科」のミッションは、う蝕・歯周病の発症予防や補綴による咀嚼機能回復までをゴールとした局所的目標まででした。
健康づくりのための歯科では、現在、歯周病菌による菌血症が引き起こす全身性血管疾患・代謝性疾患の予防改善や、咀嚼機能回復に続く低栄養状態の改善、代謝改善など、身体全体の健康づくりへとパラダイムシフトが進められています。
本講習会では、歯科におけるパラダイムシフトの潮流に沿った定期予防処置内容を、患者さんへの説明法を含め以下の3つのマニュアル化した系を提示し、そのマニュアルに沿って解説してまいります。
世相の健康志向と合流できるように、歯科の役割も 局所(歯・口腔)限定から “全身的健康づくり”との“のりしろ”をもっと明確にできれば、さらに魅力的になります。
現在、以下に述べる3つの事項を啓発していけば、メインテナンス歯科に対する評価と社会的認知が進むと考えられます。
1)咀嚼機能回復による体組成・代謝の改善
咀嚼機能が低下すると糖質(炭水化物)の摂取量が増加するデータがあります。補綴治療の役割は、咀嚼機能回復を第一評価目標とし、メタボリック症候群、栄養状態および体組成の改善を第二評価項目として、食育・保健指導を実施して、代謝,体組成の改善を最終評価項目としましょう。
2)歯周治療が血管疾患の予防・治療に貢献する
歯周病になると、歯肉から細菌が直接血管内に入りこんで菌血症となり、血管内皮炎やアテローム形成を経て、動脈硬化を引き起こすほか、悪玉サイトカインを供給し、糖質脂質代謝を悪くします。歯周病予防のメインテナンスを行なうと、歯周ケア以外に慢性炎症と菌血症も同時に回避できるのです。ここを広くクライアントにお伝えしましょう。
3)う蝕予防と糖質代謝改善保健指導
う蝕対策では、歯のみに着目した指導に加えて糖質代謝改善までを包括した保健指導が必要です。歯科保健指導に加え保健指導にもチャレンジしましょう。
抽象論ではない!求められる歯科発、具体的各論 による健康づくり
「一生自分の歯で体も心もすこやかに」「良い歯で良く噛み良いからだ」など抽象論では、口腔と全身の健康との具体的な関係性やその介入方法が欠如しており、深い理解が得られません。歯科の優先順位を上げるには、全身の健康に直結している事象を「具体的に分かりやすく」示し、予防処置・治療学と新しい保健指導を組み合わせて提供することが大切です。本講演では、そのコンセプトと具体的方略を提示解説します。
一人でも多くの国民が定期予防処置を受ける習慣を定着させ、健康づくりを実行するクリニックづくりが本講習会の使命です。