転ばぬ先の患者接遇法
日本歯科大学生命歯学部附属病院 助教授
総合診療科1 科長、心療歯科診療センター
東京都新宿区南元町4番地
03-3353-4311
豊中市新千里東町1丁目4番2号
06-6873-2010
2年前、「日常臨床に取り入れたい診療歯科的臨床手法~困ってしまう患者さん(Difficult Patient)への対処法~」と題し、学際セミナーを開催し、幸いにも多くの先生方にご出席いただきました。この時、「実際にこのような患者さんがいて困っている」「もっと詳しく知りたい」等のご意見・ご感想を多数頂戴致しました。
Difficult patientとは、誰にとってもお付き合いの難しい患者さんで、公にはなかなか語られないものの、医科においても対応に苦慮しているのが現状です。対応法を誤ると、医師・患者間が「こじれた関係」になり、歯科医師やスタッフの目に見えない精神負担がさらに問題を大きくします。Difficult patientが社会適応に問題のある人格障害の場合は、さらに細心の注意が必要です。
一方で、普通の患者さんが、最初は歯科医院におけるほんのささいな行き違いから、difficult patientに変わってしまうことも見受けられます。これは歯科医師側が患者さんの心理面に気付かず、一方的に診療を進めた場合に生じることが多いのですが、心理面の知識・技術を学ぶ機会がほとんど無い歯科医師、歯科衛生士・歯科助手等のコ・デンタルスタッフ側に、それを求めることは少々酷かもしれません。
そこで今回、困った患者さん(difficult patient)の対応法を中心に、日常診療で使える診療歯科的心得についてお話しさせていただき、併せて歯科治療と心の関係について、「転ばぬ先の」知識・技法をご紹介する予定です。