歯のふしぎ博物館 館長
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
モンゴル健康科学大学 客員教授
質疑応答
東京都渋谷区桜丘町8-24
大阪府大阪市中央区北浜東3-14
06-6942-0001
福岡市博多区博多駅中央街2-1
092-474-5280
会員 | 9,000円(テキスト代含む) |
一般歯科医師 | 35,000円(テキスト代含む) |
一般衛生士 | 15,000円(テキスト代含む) |
私が,これまで診てきた重度の脳性まひ児には,夭折した子ども達が多い。振り返るとそんな子ども達は,重度であるばかりでなく常に口が開いていた。重度であるから夭折したとなると,私たちはあまりにも無力だ。しかし口に対するアプローチがなかったら重度化したと考えると,思い当たる点が多い。口唇を閉じることができないと,自分の唾液ですら誤嚥する。まさに自分の唾液で溺れるのだ。また肺炎になりやすい。何よりも,食べることができないので体力がない。口は使わないと開く。だったら使えば良い。これだけで多くの問題が防げる。寝たきりの高齢者にも同じ問題が潜んでいると思う。
最近,口腔機能が注目されているが,口にはいまだに解明されていない多くの “ふしぎ” がある。例えば,誤嚥性肺炎。そもそも口は不潔なのに,何故平気なのだろう? 不潔性口内炎があっても良いのではないか…?
またヒトの歯は,一度しか生え代わらないが,サメは何万本も生える。ヒトの歯も何度も生え代われば良いのに…と思ったことはなかろうか? でも本当に,そうなのか? 進化の中には,それなりの理由があるはずだ。これらの何故を考えながら口の機能を診ていると,明日からヒトの口が気になることだろう。今回は,魚類からヒトへの口腔機能の進化を通じ,日常臨床と兼ねあわせて考えてみたい。