フリーランス臨床腫瘍科獣医師
日本獣医がん学会Ⅰ種認定医
1991年 麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、東京都内動物病院勤務を経て、麻布大学獣医学部附属動物病院勤務、2016年に同病院を退職し、1999年から開始していたフリーランス臨床腫瘍科獣医師として、現在腫瘍科診療や腫瘍診療アドバイザー、研究会講師、学術雑誌連載Ⅰ誌などで活躍。
1994年には日本獣医がん研究会設立の発起人となり、2003年同研究会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種を取得。2005年~2009年まで、同研究会の第4期執行部副会長に就任。2009年より、日本獣医がん学会 理事。
2019年6月30日(日)
4:29:44
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一般獣医師 | 27,000円(税込29,700円) |
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過去に医学会では『がん難民』という大問題を抱えた時期がある。およそ全てのがん患者に対し現時点で有効とされる画一的な治療プロトコールのみを提示したため、それによる身体的あるいは経済的負担に耐えられないものは治療対象外とされ、ホスピスには死を待つだけの患者が溢れかえった。これは、医学界で盲目的に信じられた「(がんの)縮小なくして延命なし」と言うスローガンから発した当然の成り行きではあったが、あまりの惨状に医者も国も頭を抱えた。そしてようやく、縮小しなくとも延命は可能であり、「がんの根治だけが治療ではなく、患者の数だけ治療法は存在する」と気付き始めた。まさにこれこそが、我々が携わる獣医がん治療のスローガンである。これまで5,000例を超えるがん患者の治療に関わってきたが、同じ治療を行った患者など一例もない。分厚い獣医学書も次々報告されるエビデンスも参考になることはあっても、決して現場の治療の答えなどではなかった。常に、今考えうるあらゆる治療法をその動物に合わせオーナーに提示し、何度も相談してやっと「一番良い治療」にたどり着く。そうして出来ぬ納得をしてくれた患者たちは、勇気を振り絞り1日1日を大事に過ごしてくれる。それが今我々にだせる精一杯の答えであり、また、現代における最高の獣医療の姿であると信じている。
今回のセミナーが、日々のがん治療現場で悪戦苦闘されている先生方に、わずかでもお役に立てれば幸いです。